勤怠管理システム 設定代行のおすすめ比較|費用相場・対応範囲・東京/大阪/名古屋発、全国オンライン対応
本記事は「勤怠管理システム 設定代行」を検討する人事・労務担当者向けに、費用相場・対応範囲・導入手順・比較観点を網羅。東京・大阪・名古屋発、全国オンライン対応やオンサイトの可否、スポット設定・導入支援・運用保守までの価格帯を把握できます。主要サービス(ジョブカン勤怠管理、KING OF TIME、マネーフォワードクラウド勤怠、freee勤怠管理Plus、奉行Edge 勤怠管理クラウド、タッチオンタイム)や代行会社(NOCアウトソーシング、パーソルプロセスアンドテクノロジー)の特徴、就業規則反映、CSVでのマスタ設計・データ移行、ICカード/生体認証、シフト・休暇・ワークフロー、弥生給与・給与奉行・マネーフォワードクラウド給与・freee人事労務との連携、APIやSlack/Microsoft Teams連携、権限・IP制限・監査ログの対応可否も比較。結論として、法改正対応や36協定、内部統制(ISMS)とSLA、見積内訳と隠れコストの確認が選定の要で、オンライン中心でも多拠点展開は十分可能、オンサイトはセキュリティ要件に応じ追加費用を織り込むべき、という判断基準が明確になります。キックオフ/要件定義〜並行稼働/本番移行〜管理者研修・初月サポートのスケジュールや、データ移行・就業規則未整備・打刻機器流用・IT導入補助金の確認手順などFAQも整理し、初期設定から運用立ち上げまでの不確実性を最小化します。
1. 勤怠管理システム 設定代行の基本とメリット
勤怠管理システムの「設定代行」とは、就業規則や運用ルールに合わせてシステムを最適化し、打刻・シフト・休暇・ワークフロー・給与連携・セキュリティまでを専門家が一括で設計・設定・テストする導入支援サービスです。ベンダー標準の初期状態では反映しきれない、複雑な労働時間制度(フレックスタイム制、変形労働時間制、みなし労働、裁量労働、テレワーク、時差出勤など)や、多拠点運用・監査要件まで含めて短期間で立ち上げます。
設定代行を活用すると「要件定義の抜け漏れ」「手戻り」「担当者の属人化」を抑え、初月から運用定着までの時間を大幅に短縮できます。 導入後も、法改正や組織改編(部署統合、就業カレンダー変更、打刻機器の追加等)に合わせたパラメータ調整がスムーズになり、総務・人事労務の負荷とリスクを低減します。
東京・大阪・名古屋を拠点にしたオンサイト対応と全国オンライン対応を組み合わせることで、多拠点・シフト制・24時間稼働の現場でも、現実的なスケジュールで安全に本番移行できます。
1.1 設定代行で解決できる課題と導入効果
設定代行は、制度解釈からデータ移行、周辺システム連携、現場定着まで一気通貫で支援します。代表的な課題と効果は次のとおりです。
| 課題 | よくある原因 | 設定代行での解決策 | 導入効果 |
|---|---|---|---|
| 残業・深夜の自動集計が合わない | 就業規則とシステムの閾値・丸め設定が不整合 | 就業規則の要件定義、打刻丸め・休憩控除・法定外時間のパラメータ再設計と検証 | 集計ミス削減、月次締めのリードタイム短縮 |
| シフト・休暇申請の承認が滞留 | 承認フロー不整備、代理承認・多段階承認の未設定 | ワークフローの分岐設計、権限と代理承認のルール化、通知(メール/チャット)連携 | 承認リードタイム短縮、可視化による滞留ゼロ化 |
| 給与計算との突合に時間がかかる | 勤怠と給与マスタ定義不一致、CSVマッピングのズレ | 勤怠出力フォーマットの標準化、弥生給与/給与奉行/マネーフォワードクラウド給与/freee人事労務向けレイアウト設計 | 総合工数削減、誤支給防止、締め後の修正対応削減 |
| テレワークや直行直帰で不正打刻が心配 | 位置情報・端末制御・監査ログの不足 | IP制限、GPS/端末認証、監査ログ設計、生体/IC打刻の併用 | 内部統制強化、監査対応(証跡)を容易化 |
| 法改正対応が後手に回る | 制度アップデートの情報不足、検証環境なし | テスト環境での事前検証、36協定関連の上限管理・アラート設計 | 法令順守リスク低減、是正対応の予防 |
| 導入が進まず現場に定着しない | 運用マニュアル不足、教育・周知計画の欠如 | 役割別トレーニング、操作マニュアル/FAQ整備、ローンチ計画と並行稼働 | 短期定着、問い合わせ件数の大幅減 |
システムの「設定品質」は、勤怠データの信頼性・給与連携の正確性・監査対応力を決める基盤であり、代行の専門知見によって初期から高品質を実現できます。
1.2 設定代行の対応範囲の標準パッケージ
標準パッケージでは、初期設定からマスタ設計、機器・端末の設定、申請ワークフロー、給与連携、セキュリティ・権限、監査ログまでを網羅します。以下は代表的な作業範囲の整理です。
| 領域 | 主な作業 | 成果物/到達点 | 関連システム/機器 |
|---|---|---|---|
| 初期設定/就業規則 | 制度整理、打刻・休憩・丸め・残業ルールのパラメータ化 | 要件定義書、設定反映、検証記録 | 勤怠本体 |
| マスタ設計/データ移行 | 部門・雇用区分・職種、従業員CSV設計、移行テスト | マスタ定義書、CSVテンプレート、移行報告 | 人事マスタ、ディレクトリサービス |
| 打刻・端末 | ICカード/生体/タブレット/スマホ/GPS、拠点別設定 | 機器設置計画、端末設定一覧、運用ガイド | ICリーダー、指静脈/指紋、iOS/Android |
| シフト/休暇/ワークフロー | パターン設計、休暇種別、承認経路、通知 | 承認フロー図、申請書式、通知設定 | メール、チャットツール |
| 給与/人事連携 | CSV/APIマッピング、締め処理設計 | 出力レイアウト、突合手順書 | 弥生給与、給与奉行、マネーフォワードクラウド給与、freee人事労務 |
| 権限/セキュリティ | ロール設計、IP制限、監査ログ | 権限マトリクス、運用ポリシー | SSO、IdP、監査レポート |
1.2.1 初期設定と就業規則の反映
まず、就業規則・36協定・所定労働時間・休憩・深夜・休日の定義を整理し、システムの丸め・自動休憩控除・残業判定・遅刻早退・残業申請ルールに正確に落とし込みます。変形労働時間制やフレックス制の場合は、清算期間・コアタイム・端数処理の論理を矛盾なく設計します。
祝日カレンダー、拠点別の勤務カレンダー(工場・店舗・本社)を分け、所定と法定外の境界を明確にしたうえで、例外(繁忙期の特別シフト、計画年休、代休/振休)を運用可能な申請・承認フローに接続します。テストデータで月跨ぎ・締め処理・修正申請のケースまで検証し、誤差が生まれやすい端数・丸めの箇所を重点確認します。
「就業規則の記述」と「システムのパラメータ」を一対一で対応付けることで、制度変更時の修正点が明確になり、将来の保守性が大幅に向上します。
1.2.2 マスタ設計とデータ移行 CSV
部門階層、雇用区分(正社員・契約社員・パート・アルバイト・派遣)、勤務地、職種などのマスタ定義を作成し、承認経路・集計単位・権限ロールと整合させます。従業員基本情報はCSVテンプレートを用意し、人事マスタとの項目マッピング(社員コード、入社日、雇用形態、時間制度、所属、雇用契約期間など)を定義します。
移行は「初期投入」「並行稼働中の差分反映」「本番移行直前の最終反映」の3段階で行い、キー項目の重複・文字コード・日付形式の不整合をチェックします。既存の勤怠システムからの履歴データ移行が必要な場合は、締め単位や集計ロジックの違いを吸収するトランスフォーム設計を行います。
1.2.3 打刻機器と端末設定 ICカード 生体認証
入退館カード(ICカード/FeliCa、MIFARE)の社員証連携、指静脈・指紋などの生体認証端末、タブレット打刻、スマートフォンアプリ(GPS、カメラによる本人確認)など、現場環境に合わせて選定・混在運用を設計します。多拠点・シフト交替制では、拠点ごとのネットワーク要件、機器の設置位置、オフライン時のリトライ・バッファ仕様まで定義します。
セキュリティ観点では、端末の利用者制限、打刻可能IPレンジ、位置情報の許諾・保存期間、端末紛失時のリモートワイプ手順を整備します。直行直帰・テレワーク時は、GPS精度とプライバシーのバランスを取り、必要最小限の位置情報取得に限定します。
1.2.4 シフト管理 休暇管理 ワークフロー申請
シフトは、固定/パターン/自動割当のいずれにするかを決め、締め処理と整合する発行サイクル・修正ルールを定義します。勤務パターン(早番・遅番・夜勤)ごとに休憩・深夜時間帯・割増条件を明確化し、所定超過や勤務間インターバルのチェックを自動化します。
休暇は、年次有給休暇(付与・繰越・時間単位有給)、特別休暇、代休/振休、欠勤を区分し、残数管理・付与トリガー・分単位/時間単位の申請可否を設定します。ワークフローは、所属・雇用区分・勤務場所で分岐する承認経路、代理承認、二重承認防止、差戻し・再申請の制御、メール/チャット通知、リマインドを実装します。
現場の運用ルールをワークフローに落とし込むことで、属人的な運用を排し、承認の証跡を自動で残せるようになります。
1.2.5 給与連携と人事マスタ連携 弥生給与 給与奉行 マネーフォワードクラウド給与 freee人事労務
勤怠締めデータの出力レイアウトを、弥生給与、給与奉行、マネーフォワードクラウド給与、freee人事労務などの給与ソフトに合わせてマッピングします。残業(法定内/法定外)、深夜、休日、遅刻早退控除、欠勤控除、みなし時間の区分を、各システムの賃金項目コードと一致させ、CSV/API連携時の取り込みエラーを無くします。
人事マスタ連携は、社員の入退社・異動・雇用区分変更・賃金テーブル変更をトリガーにし、毎日/毎週の同期バッチまたはリアルタイムAPIで更新します。締め処理のタイムライン(勤怠締め→承認完了→給与計算開始)に合わせたロック/解錠ルール、再計算手順、修正対応フローも定義します。
1.2.6 権限設定 セキュリティ IP制限 監査ログ
管理者、部門長、承認者、一般社員、外部委託(BPO)などのロールを定義し、参照範囲(自部門・配下部門・全社)と操作権限(承認/差戻し/修正/エクスポート)をきめ細かく制御します。IP制限や端末制限、シングルサインオン(SSO)と多要素認証(MFA)を組み合わせ、社外アクセスや私用端末からの不正操作を防ぎます。
監査ログは、打刻修正、申請・承認、権限変更、データ出力(CSV/レポート)などの重要操作をすべて記録し、検索・エクスポート可能な形で保持します。ログの保持期間、アクセス権限、改ざん防止の手当てを行い、内部統制・監査・コンプライアンス要求に対応します。セキュリティインシデント時の初動(アカウント停止、範囲特定、証跡保全、影響評価)も運用設計に含めます。
2. 勤怠管理システム 設定代行の費用相場
費用は「要件の複雑さ(就業規則・シフト・拠点数)×工数」+「出張・機器などの実費」+「運用保守(月額)」で決まります。同じ従業員数でも、変形労働時間制や夜勤・24時間操業、プロジェクト別工数管理、給与ソフト連携の有無、IP制限やSSOなどのセキュリティ要件で大きく変動します。以下は、実務で一般的に採用される料金モデルと目安帯です(金額は税別、SaaS利用料や打刻機器代は含みません)。
| 費用カテゴリ | 主な内容 | 課金単位 | 相場の目安 | 備考 |
|---|---|---|---|---|
| スポット設定代行 | 就業規則反映、休暇・シフト設計、CSVインポート、アラート設定など | 時間単価またはタスク単価 | 1.5万〜3.5万円/時、または3万〜15万円/タスク | 最低作業時間(2〜4時間)が設定されることが多い |
| 導入支援パッケージ | 要件定義〜設計・初期設定・テスト・研修まで一式 | 固定費 | ライト20万〜40万円、標準50万〜120万円、高度120万〜300万円 | 従業員数・拠点数・連携範囲で増減 |
| 出張・オンサイト | 現地キックオフ、機器設置、管理者研修、入館手続き対応 | 人日+実費 | 8万〜15万円/人日+交通・宿泊実費 | エリア加算・繁忙期加算あり |
| 運用保守・月額サポート | 問い合わせ対応、法改正時の設定見直し、月次レポート | 月額・年額 | 1万〜20万円/月、運用代行は100〜300円/名/月 | サービスレベルや対象範囲で変動 |
見積もりは、要件ヒアリング後に「WBS(作業分解)×時間単価」で算出されるのが一般的です。目安として、要件定義8〜16時間、パラメータ設計12〜24時間、設定8〜16時間、テスト8〜12時間、研修・資料化6〜12時間など、合計42〜80時間程度のプロジェクトであれば、時間単価2万円の場合で84万〜160万円相当となります。
2.1 スポット設定代行の料金相場
短納期で特定機能のみを整備したい場合に適したメニューです。オンライン完結が多く、最低作業時間やリモート接続準備費が設定されることがあります。法改正時のスポット対応(割増賃金・休日労働の設定見直し、時間外アラート強化)や、CSV整形・取り込みの代行依頼もよく選ばれます。
| タスク例 | 想定工数の目安 | 相場の目安 | 前提・注意点 |
|---|---|---|---|
| 就業規則の反映(労働時間・休憩・割増) | 4〜10時間 | 7万〜25万円 | 規則の複雑さ(変形労働・みなし・深夜有無)で増減 |
| 休暇・有休付与ルール設定 | 2〜6時間 | 3万〜12万円 | 付与タイミング・付与単位・繰越・取得制限の有無 |
| シフトテンプレート設計 | 3〜6時間 | 5万〜12万円 | 勤務パターン数・締め日・休日体系で変動 |
| マスタデータ整備・CSVインポート | 3〜8時間 | 4万〜16万円 | 所属・雇用区分・打刻IDなどの正規化が必要 |
| 給与連携レイアウト調整 | 3〜8時間 | 5万〜15万円 | 「弥生給与」「給与奉行」「マネーフォワードクラウド給与」「freee人事労務」など対象により検証が必要 |
| 打刻機器設定(ICカード・生体) | 1〜3時間/台 | 1万〜3万円/台 | 台数割引やオンサイト作業の有無で変動 |
スポット対応は「現状の課題ピンポイント解決」に向きますが、根本要件の未整理があると再設定が発生しコスト増になりがちです。要件が複雑な場合は、パッケージ導入を選ぶ方が総額を抑えやすくなります。
2.2 導入支援パッケージの料金相場
パッケージは、キックオフから本番移行、管理者研修までを一括で支援する前提で設計されています。従業員規模や拠点数、ワークフローや給与・人事マスタ連携の範囲に応じて階層化されるのが一般的です。
| パッケージ | 対象規模・難易度 | 範囲 | 工数目安 | 費用目安 |
|---|---|---|---|---|
| ライト | 〜50名、単一拠点、基本フロー | 基本設定、休暇・シフト、CSV取込、管理者研修1回 | 25〜40時間 | 20万〜40万円 |
| 標準 | 〜300名、複数拠点、承認フローあり | 要件定義、設計、機器・ワークフロー、給与連携、研修2回 | 60〜100時間 | 50万〜120万円 |
| 高度 | 〜1000名、多拠点・夜勤・変形労働 | テストシナリオ、並行稼働、API/SSO、監査ログ設計 | 120〜200時間 | 120万〜300万円 |
| 大規模 | 1000名〜、グループ展開・段階移行 | PMO、移行計画、教育展開、セキュリティ審査対応 | 個別見積 | 300万円〜 |
よくあるオプションには、拠点追加(1拠点あたり5万〜15万円)、承認ルート詳細設計(5万〜20万円)、API連携やTeams/Slack通知(10万〜50万円)、SSO/SAML設定(8万〜30万円)などがあります。給与システム連携は「設計・マッピング・エビデンス(検証記録)」まで含めると再現性が高く、監査対応にも有利です。
2.3 出張対応とオンサイト対応の追加費用
オンサイトは「現地研修で定着を早めたい」「入館手続きや機器設置が必要」「セキュリティ要件でリモート不可」といったケースで選ばれます。費用は人日単価に加え、移動時間や地域係数、実費が上乗せされます。
| 項目 | 課金方法 | 相場の目安 | 補足 |
|---|---|---|---|
| オンサイト作業 | 人日単価 | 8万〜15万円/人日 | 作業時間帯(夜間・休日)で25〜50%加算の場合あり |
| エリア加算 | 1回あたり | 東京23区0〜2万円、首都圏近郊1〜3万円、関西・中部3〜6万円、その他4〜8万円 | 交通実費・宿泊は別途(1〜2万円/泊が目安) |
| 入館・セキュリティ対応 | 定額または工数 | 1万〜3万円、または0.5人日 | 事前講習・申請書類・デバイス登録対応など |
| 機器設置サポート | 台数単価 | 1万〜3万円/台 | 配線・固定・通電・動作確認・設置記録作成を含む |
同日で複数作業をまとめると、出張費の重複を抑えやすくなります。一方で、現地工数は「社内立ち会い待ち時間」も発生しがちなので、事前に入館・設備予約・対象部署の調整を完了しておくと効率的です。
2.4 運用保守と月額サポート費用
運用開始後の費用は、問い合わせチャネルやSLA、改善提案の頻度、締め処理の代行範囲によって決まります。月額は一定でも、繁忙期(年度更新・人事異動・法改正)に年次のスポット費が別建てになるケースが一般的です。
| プラン | 内容 | サービスレベル | 費用目安 |
|---|---|---|---|
| ライト | メール/チャットQ&A、月次1時間の運用相談 | 平日営業日内の回答 | 1万〜3万円/月 |
| 標準 | 問い合わせ無制限、リモート対応、四半期の改善提案 | 初動SLA(例:翌営業日以内) | 3万〜8万円/月 |
| プレミアム | 優先サポート、月次レポート、監査対応支援、設定変更代行 | SLA(応答/復旧目標)・稼働時間拡張 | 8万〜20万円/月 |
| 運用代行 | 締め処理、残業承認エスカレーション、給与データ出力 | 締め日対応の体制確保 | 100〜300円/名/月+最低料金 |
| 年次スポット | 法改正対応、就業規則改定反映、監査ログ設計見直し | 年度内完了 | 10万〜30万円/年 |
補助金の利用を検討する場合、対象となる費用区分や採択スケジュールを事前に確認しましょう。たとえば「IT導入補助金」はクラウド利用や導入支援が対象となる枠があり、要件や対象経費は公式情報での確認が推奨です(IT導入補助金 公式サイト)。
総予算を最適化するポイントは「初期の設計品質を上げて、運用での手戻りを最小化すること」および「オンサイトとオンラインを適切に使い分けること」です。契約形態(請負か準委任)、成果物(設計書・テスト証跡・運用手順書)と検収条件、SLAやエスカレーションルール、追加改修の単価体系を見積書・注文書で明確化し、隠れコスト(環境準備、ID発行、入館、教育展開)を事前に洗い出すのが肝要です。
3. おすすめの設定代行会社とベンダー比較
勤怠管理システムの設定代行は、初期構築やデータ移行、打刻機器の接続、ワークフロー設計、給与・人事システムとの連携までを一気通貫で支援します。ここでは主要ベンダーと設定代行に強い支援会社を取り上げ、対応範囲・提供形態・得意領域の観点で比較します。自社の就業規則・36協定・運用体制に適合する「要件化」と、導入後の「運用定着」まで伴走できるかが選定の要点です。
| ベンダー/支援会社 | 主な特徴 | 想定規模 | 連携の強み | 提供形態 |
|---|---|---|---|---|
| ジョブカン勤怠管理 | 多機能・段階導入しやすい。代理店・パートナー経由の設定代行が充実。 | 小規模〜数千名規模 | CSV/給与連携が豊富。各種打刻機に対応。 | オンライン中心+オンサイト(パートナー) |
| KING OF TIME | 打刻・労働時間管理の実績が豊富。API公開で拡張性が高い。 | 小規模〜大規模 | API/SSOなど拡張性。打刻機器ラインナップが広い。 | オンライン中心+オンサイト(パートナー) |
| マネーフォワードクラウド勤怠 | 会計・給与とのスイート連携に強み。統合でバックオフィスを効率化。 | 小規模〜中堅 | マネーフォワードクラウド給与/会計と親和性が高い。 | オンライン中心 |
| freee勤怠管理Plus | クラウド人事労務と一体運用。スタートアップ〜中小に適合。 | 小規模〜中堅 | freee人事労務・給与との統合が容易。 | オンライン中心 |
| 奉行Edge 勤怠管理クラウド | 奉行シリーズとの連携で人事・給与・勤怠の一貫管理。 | 中堅〜大規模 | 既存奉行資産の活用・データ整合性。 | オンライン+オンサイト(パートナー) |
| タッチオンタイム | 打刻デバイス選択肢が広い。多拠点・直行直帰に強い。 | 小規模〜中堅 | ICカード/生体認証など現場適合が容易。 | オンライン+オンサイト(パートナー) |
| NOCアウトソーシング | 設定代行〜労務相談まで一気通貫。運用代行の選択肢がある。 | 小規模〜中堅 | 社労士連携・給与/勤怠の業務委託と親和。 | オンライン+オンサイト |
| パーソルプロセス&テクノロジー | 大規模展開のPMOに強み。複数拠点・複雑要件の標準化に対応。 | 中堅〜大規模 | 周辺システム連携・チェンジマネジメント。 | オンライン+オンサイト |
3.1 ジョブカン勤怠管理 導入支援と設定代行
ジョブカン勤怠管理(公式)は、打刻、休暇、シフト、申請ワークフロー、残業アラートなどの機能を柔軟に組み合わせて導入できるのが特徴です。設定代行では、就業規則の反映、勤怠区分・勤務形態のパラメータ設計、CSVによるマスタ移行、打刻機器やICカード・生体認証端末の初期設定、給与・人事マスタとのデータ連携などをカバーします。段階導入(まず勤怠管理の基盤→運用安定後に申請ワークフロー・アラート強化)のアプローチが取りやすく、伴走型の支援に向いています。
3.1.1 対応範囲と対応エリア 東京 大阪 名古屋 全国オンライン
オンラインでの要件定義・設定作業・管理者研修に対応し、現地打刻機器の設置や多拠点のオンサイト対応はパートナー/代理店経由で手配できる体制が一般的です。首都圏・関西・中部圏を含む全国での展開実績が多く、現場とバックオフィス双方の運用設計(申請経路、承認権限、IP制限、監査ログの確認手順)まで支援可能です。
3.1.2 費用目安と導入スケジュール
費用は要件の複雑さ(勤務パターン数、拠点数、データ移行の有無、ワークフローの分岐、給与連携の深さ)で大きく変動します。一般的にはスポット設定代行(初期設定のみ)と、導入支援パッケージ(要件定義〜検証〜並行稼働〜本番移行〜初月サポート)に分かれ、見積りベースで算定されます。スケジュールは、就業規則の確定状況や労使協定(36協定)の内容確認に左右されるため、キックオフ前に適用ルールを整理しておくと着地が安定します。
3.2 KING OF TIME 導入代行と運用支援
KING OF TIME(公式)は、豊富な打刻方式(ICカード、指静脈・指紋などの生体認証、PC/スマホ、タブレット)と柔軟な労働時間管理で知られ、シフト・休暇・申請・アラートまで網羅します。設定代行では、勤務区分・労働時間集計ロジックのパラメータ設計、月次締め運用、残業上限制御、36協定チェック、CSV/APIによるマスタ同期と給与連携、セキュリティ(IP制限・権限分掌・監査ログ)まで含めた設計を行います。
3.2.1 連携機能 API Slack Microsoft Teams
同製品はAPIを公開しており、外部システムとの双方向連携や拡張が可能です。SlackやMicrosoft Teamsとの連携は、通知WebhookやiPaaS(例:Microsoft Power Automate、Zapier等)を介して、打刻リマインドや承認通知を実装するケースが一般的です。承認ワークフローのイベントをトリガにしたチャット通知・エスカレーション設計は、運用定着に大きく寄与します。なお、具体的な接続方式は情報システム部のガバナンス(SSO/SAML、認可方式、監査要件)に合わせて選定します。
3.2.2 導入事例と業界別ノウハウ
多拠点・交替勤務・直行直帰を含む業態や、建設・小売・コールセンター・医療福祉など、勤務パターンが多様な現場での導入事例が豊富です。業界別の運用ノウハウ(変形労働時間制、残業アラートの閾値設計、休暇付与ロジック、監査対応ログの運用)は、要件定義フェーズでのヒアリングに活用されます。
3.3 マネーフォワードクラウド勤怠 導入支援
マネーフォワードクラウド勤怠(公式)は、同スイートの会計・給与・人事と横断的にデータ連携できる点が強みです。設定代行では、勤怠データの正規化、休暇管理の付与・繰越ロジック設計、ワークフロー申請、権限設計、給与連携マッピング(マネーフォワードクラウド給与を含む)まで一貫して設計し、CSV/APIを併用してデータ移行を行います。バックオフィスの分断を避け、勤怠→給与→会計の自動化率を高めたい企業に適した構成です。
3.3.1 給与 会計との連携強化
勤怠締め後の控除・手当の自動計上や、部門・プロジェクト別の原価配賦に向けたコード設計を初期段階で定義すると、会計側の仕訳作業まで一気通貫で効率化できます。人事マスタの所属・雇用区分・等級情報を同期し、権限・承認経路の整合性をとることが運用の安定化につながります。
3.4 freee勤怠管理Plus 設定代行
freee勤怠管理Plusは、freee人事労務・freee会計との親和性が高く、クラウドネイティブに統合運用できます。設定代行では、勤務形態・休暇制度のパラメータ化、打刻設定、承認フロー、アラート条件、データ移行、給与連携までを短期で立ち上げる進め方が可能です。創業期〜成長期のスタートアップや中小企業において、シンプルな標準運用から着手し、制度改定や人員拡大に合わせて段階的に拡張する戦略が取りやすいのが特長です。
3.4.1 スタートアップ 中小企業に適した進め方
初期は「基本打刻+休暇申請+月次承認」を安定させ、次に「残業アラート」「プロジェクト別工数」などの要素を追加、最終的に「給与・会計連携の自動化」へ拡張する三段階アプローチが定着しやすいです。社内ルールが未整備でも、並行して就業規則の整備と運用ルールの文書化を進めることで、移行リスクを抑えられます。
3.5 奉行Edge 勤怠管理クラウド 導入支援
奉行Edge 勤怠管理クラウドは、奉行シリーズ(人事・給与)とのデータ整合性に優れ、内部統制や監査への対応を意識した運用設計に向いています。設定代行では、既存奉行マスタのクレンジング、部門・職位・雇用区分のコード体系整理、勤怠→給与連携の項目マッピング、監査ログ・権限分掌の設計を重点的に行います。既存奉行シリーズを活かしたシームレスな拡張と、監査対応まで考慮した権限・ログ設計がポイントです。
3.5.1 既存奉行シリーズとの連携と展開手順
展開手順の要点は、現行マスタの棚卸し→コード統合と重複排除→勤怠パラメータの業務規程へのトレース→給与項目の突合→検証環境での締め処理テスト→本番切替の順で進めることです。既存アドオンや帳票文化がある場合は、帳票要件の置き換え/簡素化も早期に定義します。
3.6 タッチオンタイム 導入サポート
タッチオンタイムは、ICカード・生体認証・タブレット打刻など現場適合性が高く、直行直帰・多拠点・テレワークに強い構成を取りやすいクラウド勤怠です。設定代行では、拠点別の打刻運用、IP/端末制限、シフト・休暇運用、申請フロー、給与連携、監査ログの確認手順までを整備し、並行稼働期間で実データを用いた誤差検証を行います。現場での「迷わない打刻」とバックオフィスの「締め遅延を生まない仕組み化」を両立させることが重要です。
3.6.1 多拠点 テレワークに強い設定ポイント
拠点別の例外日設定、打刻漏れアラート、権限ロールの粒度設計(拠点長・部門長・本社労務)を明確にし、直行直帰者向けに位置情報ログやモバイル打刻のルールを定義します。ICカード紛失・貸し借りのリスク対策として、生体認証や二要素の併用も検討します。
3.7 NOCアウトソーシング 設定代行サービス
NOCアウトソーシングは、勤怠システムの初期設定やデータ移行、運用代行(集計・チェック)まで一体で請けられる点が特長です。就業規則や36協定の観点を押さえつつ、繁忙期の打刻・承認遅延対策や、月次締めの例外処理ルールを具体化します。「システム設定+日次/月次の運用オペレーション」まで任せたい企業や、担当者不在時のバックアップ体制を求める企業に適合します。
3.7.1 社労士連携と労務相談の活用
社労士連携により、労働時間の上限制御や有給付与・管理、休業・休職など特殊ケースの扱いまで、規程と実運用の整合性を保つ設計が可能です。法改正対応時のパラメータ見直しや、社内周知用のマニュアル・研修資料作成までサポートに含めると、定着が早まります。
3.8 パーソルプロセスアンドテクノロジー 導入支援
パーソルプロセス&テクノロジーは、大規模導入のPMOやチェンジマネジメント、複数プロダクト横断の標準化に強みがあります。要件定義段階から、現場ヒアリング、業務フローのAs-Is/To-Be設計、段階展開(パイロット→ロールアウト)と教育・定着化まで、プログラムとして推進します。拠点横断の統一ルール策定やSSO/セキュリティ標準の適用、監査要求に耐える運用プロセス設計により、全社展開の失敗リスクを抑えます。
3.8.1 大規模展開とプロジェクト管理
プロジェクト計画では、移行対象の洗い出し(マスタ・勤怠履歴・ワークフロー)、環境分離(検証/本番)、テスト観点(締め処理、例外、遡及修正、給与突合)、承認者教育、ロールアウト計画(エリア/拠点単位)を明確にします。運用開始後は、SLA/問い合わせ分類、改善サイクル(KPI:打刻漏れ率・承認遅延・締め遅延)まで管理し、定着化を図ります。
なお、各製品の機能・仕様・提供形態は、最新版の公式情報をご確認ください。参考:ジョブカン勤怠管理/KING OF TIME/マネーフォワードクラウド勤怠。
4. 対応エリアと提供形態 東京 大阪 名古屋発 全国オンライン対応
勤怠管理システムの設定代行は、東京・大阪・名古屋を基点としたオンサイト対応と、全国どこからでも同等品質で受けられるオンライン完結の併用が主流です。多拠点展開やリモートワークが普及した現在は、要件定義・設計・検証・研修の大半をオンラインで進め、打刻機器の設置や生体認証の登録など現地作業が必要な工程のみオンサイトで実施するハイブリッド方式がコストとスピードの面で有効です。
| エリア | 提供形態 | リードタイムの目安 | 出張可否 | 対応時間帯の一例 | 主なユースケース |
|---|---|---|---|---|---|
| 東京(首都圏) | オンライン/オンサイト/ハイブリッド | オンライン:数営業日、オンサイト:1~2週間 | 可(スポット・定期巡回) | 平日9:00~18:00(SLA次第で拡張可) | 本社主導の全社展開、打刻機器一括展開、監査同席 |
| 大阪(関西圏) | オンライン/オンサイト/ハイブリッド | オンライン:数営業日、オンサイト:1~2週間 | 可(大阪発・近畿圏巡回) | 平日9:00~18:00 | 製造・物流拠点の並行稼働、シフト管理の現場最適化 |
| 名古屋(中部圏) | オンライン/オンサイト/ハイブリッド | オンライン:数営業日、オンサイト:1~2週間 | 可(東海圏・北陸方面も対応) | 平日9:00~18:00 | 工場・営業所多拠点、ICカード一括発行・登録 |
| 全国(北海道~沖縄・離島含む) | オンライン中心(必要に応じオンサイト) | オンライン:即日~、オンサイト:日程要調整 | 可(交通・宿泊の事前合意が前提) | 平日を基本、繁忙期前の臨時枠調整可 | 分散拠点・テレワーク環境、段階展開・リモート研修 |
全工程をオンラインで実施する場合でも、SSO(Azure AD/Google Workspace)の連携設計、IP制限、二要素認証(MFA)、監査ログの取得要件など、セキュリティや内部統制に関わる検討を前倒しにすることで、短納期でも品質を担保できます。テレワーク時の情報セキュリティは、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)によるテレワークセキュリティの手引きや、個人情報保護委員会のガイドラインに沿った設計・運用を参照するのが有効です。
4.1 オンライン完結の進め方と準備物
オンライン完結では、要件定義から並行稼働、管理者研修、運用定着支援までをウェブ会議と共同作業ツールで実施します。全国対応かつスピーディな立ち上げが可能で、移動時間や出張費が不要なため、短期間でのロールアウトや多拠点同時展開に適しています。
| フェーズ | 主な作業 | 利用ツールの一例 | 成果物/確認ポイント |
|---|---|---|---|
| キックオフ | 体制確認、スケジュール合意、NDA/委託契約の確認 | Microsoft Teams/Zoom/Google Meet | RASIC/責任分担表、里程標(マイルストーン) |
| 要件定義 | 就業規則・36協定のヒアリング、例外運用の棚卸し | 共有ドライブ、共同編集(Google スプレッドシート等) | 要件定義書、パラメータ設計書、承認フロー定義 |
| 設定・検証 | テナント初期設定、マスタ設計、テストシナリオ作成 | 画面共有、録画、チケット管理(Jira/Backlog等) | 検証記録、是正ログ、監査ログ要件の適合確認 |
| データ移行 | 社員・拠点・シフトのCSV整備、差分移行手順の確立 | SFTP/暗号化ZIP+別送パスフレーズ | 移行リハーサル結果、本番移行計画、ロールバック手順 |
| 並行稼働 | 現行と新システムの二重記録、乖離の原因分析 | ダッシュボード、集計レポート | 誤差許容範囲の合意、是正設定リスト |
| 研修・展開 | 管理者/承認者/一般従業員向けリモート研修 | ウェビナー、eラーニング、操作動画 | 配布マニュアル、FAQ、問い合わせ導線 |
| 運用定着 | 初月サポート、改善サイクル、SLAに基づく対応 | ヘルプデスク、チケット可視化 | KPI(申請遅延率・打刻エラー率・一次解決率) |
オンライン完結の前提として、以下の準備を推奨します。
- 管理者アカウントの発行、権限ロールの一時付与、テスト環境の作成
- IP制限・MFAの設計、SSO連携(Azure AD/Google Workspace)の実施計画
- 個人情報・人事データの授受方法(SFTP/暗号化)とアクセス権管理
- 会議録画・設計書の版管理、承認フローの可視化
- 打刻機器(ICカードリーダー・生体認証端末)を現地側で仮設置し、遠隔で接続確認
テレワークにおける端末・ネットワーク・認証の取り扱いは、IPAの解説に整合させることで、リモート前提の導入でも監査対応とセキュリティレベルを両立しやすくなります。
4.2 オンサイト導入の注意点 入館手続き セキュリティ
オンサイト導入は、打刻機器の現地設置・配線、生体認証の登録会、紙台帳からの現場移行支援、厳格な物理セキュリティが必要な環境での設定変更に適しています。入館から作業完了までの制約が多くなりやすいため、事前調整とリスク低減が成功の鍵です。
| 項目 | 事前に確認・準備すること | 現地でのベストプラクティス |
|---|---|---|
| 入館手続き | 訪問者登録、NDA持参、本人確認書類、搬入物リスト、作業許可申請 | 受付時間の遵守、貸与ICカードの返却、立会人の確保、巡回経路の記録 |
| 物理セキュリティ | 撮影可否、持込PCのセキュリティ要件、工具・備品の管理番号 | 入退室ログの取得、施錠区画での作業は二名体制、資材封緘 |
| ネットワーク | 有線/無線の利用方針、固定IPの要否、プロキシ・ファイアウォール例外 | 検証用SSID/VLANの用意、疎通試験の記録、設定差分の控え |
| 打刻機器 | 設置場所の電源・LAN口、壁面の固定方法、予備機とケーブル長 | 配線ラベリング、設置写真の保管、端末時刻同期と試打刻の証跡 |
| 個人情報 | 生体情報の取り扱い方針、登録会の動線、本人同意の取得 | 最小限収集の徹底、登録ログの保全、利用目的の周知 |
| 変更管理 | 本番変更の承認ワークフロー、作業手順書、バックアウト計画 | 作業前後のスクリーンショット、監査ログの確認、関係者への展開通知 |
オンサイト作業は、作業時間帯(操業停止時間・深夜帯)の制約を受けやすく、入館手続きを含むリードタイムも長くなります。搬入物や個人情報の取り扱いは、個人情報保護委員会の公表するガイドラインに準拠し、最小権限・最小持込の原則を徹底します。BCP/災害対策上の観点からは、現地に依存しない運用(遠隔監視、予備機・代替打刻手段、ロールバック手順)を併せて準備しておくと復旧時間を短縮できます。
また、グループ会社や多拠点での一斉展開では、「ハブ拠点(東京・大阪・名古屋発)で機器キッティング→各拠点へ配送→現地は短時間で設置・受入検査」という二段構えが効率的です。これにより作業の平準化と設置品質の均一化が図れ、並行稼働期間の短縮にもつながります。
5. 導入手順とスケジュールの目安
勤怠管理システムの設定代行は、キックオフから初月運用の安定化までを一気通貫で計画することで、工数超過や締め処理の遅延を回避できます。一般的な目安は、従業員100〜300名・1拠点構成で6〜10週間、複数拠点・複数雇用区分や変形労働時間制を含む場合で8〜12週間です。以下はフェーズ別の標準的な進め方と品質ゲートの例です。
| フェーズ | 期間目安 | 主担当 | 主なアウトプット | 品質ゲート/判定基準 |
|---|---|---|---|---|
| 1. キックオフ・要件定義 | 1〜2週 | 顧客PM/ベンダーPM、人事労務、社労士 | 要件定義書、WBS、RACI、コミュニケーション計画 | 就業規則・36協定・締日/支払日の確定、スコープ合意 |
| 2. パラメータ設計・初期設定 | 1〜2週 | 設定コンサルタント、情報システム | パラメータ設計書、権限マトリクス、テスト計画 | 設計レビュー完了、設定差分ゼロ(想定と一致) |
| 3. 検証テスト(単体/結合/UAT) | 1〜2週 | 人事労務、現場管理者、給与担当 | テスト仕様書、UAT結果、是正リスト | 想定勤務パターン×雇用区分の合格率100% |
| 4. データ移行準備・リハーサル | 1週 | 設定コンサルタント、情報システム | 移行定義書、変換マッピング、リハーサル結果 | 移行エラー0件、所要時間が目標内 |
| 5. 並行稼働 | 2〜4週 | 各部門管理者、人事労務 | 差異分析レポート、是正・教育計画 | 給与計算結果の差異0円、アラート運用定着 |
| 6. 本番移行 | 0.5週 | 顧客PM/ベンダーPM | リリース判定書、バックアウトプラン | リリース判定会でGo判定、監査ログ正常 |
| 7. 初月運用支援 | 4週 | サポートデスク、人事労務 | 週次KPI、FAQ、改善バックログ | 締め処理リードタイム目標達成、問い合わせSLA達成 |
5.1 キックオフと要件定義 就業規則ヒアリング
キックオフでは、プロジェクトの目的・スコープ・体制・スケジュール・リスクと前提条件を合意し、Microsoft TeamsやSlack等の連絡手段、チケット管理(Backlog/Jira等)、変更管理と課題エスカレーションのルールを確立します。個人情報・勤怠データの取扱い方針(アクセス権、保管期間、監査ログ)もこの段階で決めます。
要件定義では、就業規則・賃金規程・36協定を根拠として、所定労働時間、休憩、時間外・深夜・休日、振替・代休、フレックスタイム制(コアタイム/清算期間)、変形労働時間制、裁量労働制、テレワーク、シフト・勤務カレンダー、申請ワークフロー(残業・休暇・打刻修正)、打刻方法(ICカード/生体認証/PC・スマホ)、拠点別祝日、締日・支払日、締め後修正の許容範囲、IP制限、シングルサインオン等をヒアリングし、適用範囲と例外を洗い出します。
この段階で「規程の文言」と「現場運用の実態」の差異を埋め、給与計算へ影響する境界条件(丸め、端数処理、休暇付与基準日)を明文化しておくことが、後工程の手戻りを大幅に減らします。
| 入力資料 | 取得元 | 確定すべきポイント | 留意事項 |
|---|---|---|---|
| 就業規則・賃金規程・36協定 | 人事労務/社労士 | 割増計算基礎、法定休日、休暇付与 | 特別条項や例外運用の明示 |
| 現行勤怠/給与の運用フロー | 人事・給与担当 | 締日/支払日、承認階層、締め後修正 | イレギュラー対応のパターン化 |
| 組織図・雇用区分・拠点情報 | 情報システム/総務 | 承認ルート・拠点カレンダー | 将来の組織改編を見据えた設計 |
5.2 パラメータ設計と検証テスト
パラメータ設計では、勤務区分、就業カレンダー、シフトパターン、休暇種別(年休・特別休暇・代休・時間休等)、丸め・端数、時間外・深夜・法定休日の割増定義、アラート閾値(36協定・残業上限・インターバル)、ワークフロー経路、権限・ロール、監査ログ、IP制限、打刻機器設定、API/CSV連携の入出力仕様を定義し、設定コンサルタントがシステムへ反映します。
| 設定領域 | 代表的なパラメータ | 品質観点 |
|---|---|---|
| 勤務/シフト | 所定・休憩、コアタイム、変形労働の周期 | 深夜・休日の境界、日跨ぎ対応 |
| 休暇/代休 | 付与基準日、繰越/時効、時間単位休の最小単位 | 有休残高の整合、代休付与トリガー |
| 割増計算 | 丸め、計算順序、割増率 | 給与ソフトとの一致(検算ルール) |
| 承認/権限 | 多段承認、代理承認、監査ログ | 越権承認の防止、可視化 |
| 連携 | 人事マスタ・給与CSV、API項目定義 | コード体系の正規化、差分連携 |
検証テストは、単体→結合→ユーザー受入テスト(UAT)の順で実施します。想定勤務(通常/早出・残業/休日/出張/テレワーク/シフト変更/打刻漏れ・修正)と雇用区分のクロステストを行い、正常系・例外系・境界値(分単位の丸め、日跨ぎ、月跨ぎ)をカバーします。監査ログの整合、アラート発火、権限での画面・データ見え方の確認も必須です。
UATでは必ず直近の給与確定データと勤怠集計結果を突合し、総支給・控除に影響する勤怠項目が完全一致することを合格基準に設定します。
5.3 データ移行 並行稼働 本番移行
データ移行では、従業員マスタ(社員番号、所属、雇用区分、雇用形態、入社・退職日)、権限ロール、勤務カレンダー、シフトパターン、休暇残高(年休・代休)、打刻履歴(必要期間)、申請履歴(オプション)を対象に、CSV定義・コード変換表・クレンジングルールを作成します。事前リハーサルで所要時間とエラーパターンを把握し、移行当日のバックアウトプラン(旧環境へ切り戻し条件)を準備します。
| 移行データ | 期間/範囲 | 検証方法 | 主なリスクと対策 |
|---|---|---|---|
| 従業員マスタ・所属 | 全件 | 件数・キー一致、ダブルカウント検出 | 社員番号重複→正規化とキー変換 |
| 休暇残高(年休・代休) | 最新残高 | 合計値一致、サンプル追跡 | 付与/消化時系列の欠落→監査ログ併用 |
| 打刻履歴 | 締日を跨ぐ必要期間 | 日別・人別の差分検出 | 丸め差異→丸め規則を移行前に確定 |
| シフト・カレンダー | 当月+翌月 | 配備率、祝日一致 | 拠点差異→拠点別テンプレート化 |
並行稼働では、旧システムと新システムを同時運用し、日次で打刻・申請データ、週次で集計結果を突合します。差異は原因(設定/データ/運用)に分類し、是正→再検証のサイクルを短周期で回します。クリティカルパスは「締め処理完了日」に合わせて逆算し、承認遅延に対してはリマインドや代理承認を設計します。
本番移行では、データフリーズ→最終エクスポート/インポート→検算→リリース判定会の順に進めます。監査ログ、エラーログ、アラート、権限のサンプリング確認を行い、想定外事象が発生した場合はバックアウト条件に従い切り戻しを判断します。
本番移行は「給与計算月の締日前」に完了させ、初回締め処理の前に最終検算と承認者訓練を済ませることで賃金支払への影響を最小化できます。
5.4 管理者研修とマニュアル作成
管理者研修は役割別(人事労務、現場管理者、承認者、一般従業員、給与担当、情報システム)に分け、操作ハンズオン、エラー対応、月次締め、差戻し、代理申請、打刻修正、アラート対応、監査ログの参照方法を中心に実施します。オンライン(ウェビナー、録画コンテンツ、eラーニング)とオンサイトの併用により、全国展開でも習熟度を均一化します。
| 受講対象 | 学習目標 | 所要時間 | 演習/成果物 |
|---|---|---|---|
| 人事労務/給与 | 締め処理と給与連携を自走 | 90〜120分 | 月次締め演習、CSV連携チェックリスト |
| 現場管理者/承認者 | 日次確認・承認の定着 | 60〜90分 | アラート対応手順、代理承認フロー |
| 一般従業員 | 打刻・申請のミス低減 | 30〜45分 | スマホ打刻/申請シナリオ、FAQ |
| 情報システム | 権限・セキュリティ運用 | 60分 | 監査ログ確認、IP制限/SSO確認 |
マニュアルは、画面遷移・入力ルール・よくあるエラー・月次運用SOP(標準作業手順書)・トラブル時連絡フローを含め、版管理(改定履歴)と公開場所を明確化します。検索性を高めるため、用語集とショートカット集、チェックリスト(締め前/締め後)を付属させます。
研修とマニュアルは「初回締め処理日」から逆算して配置し、承認者の不在・異動・新任に備えたオンボーディング手順をテンプレート化しておくと、定着速度が大きく向上します。
5.5 運用開始 初月サポートと改善
運用開始後の初月はハイパーケア期間として、問い合わせ窓口のSLA(受付時間、初動・解決目標)、エスカレーション基準、週次定例(KPIレビュー、障害/変更管理)、監査ログ・アラートの日次モニタリングを実施します。主なKPIは申請遅延率、修正打刻率、未承認件数、締め処理リードタイム、アラート対応SLO(例:24時間以内対応率)です。
| 支援メニュー | 提供タイミング/時間 | 目標 | 具体施策 |
|---|---|---|---|
| 初動サポート | 運用開始〜2週(平日9:00–18:00) | 問い合わせ一次回答を迅速化 | テンプレ回答、原因分類、再発防止案の即日提示 |
| 締め前強化支援 | 月末〜月初 | 未承認ゼロ、差異ゼロ | 未承認の自動リマインド、ダッシュボード監視 |
| 改善サイクル | 週次 | 運用負荷の平準化 | 改善バックログ管理、軽微な設定改善の継続 |
初月は「現場の手間を減らす小さな改善」を連続投入し、実感できる効果(承認時間短縮やアラート自動化)を早期に出すことが、定着と利用率を押し上げます。
二ヶ月目以降は、計画有休の取得促進、アラートのチューニング、勤怠異常の予兆検知、権限の最小化(最小特権)、棚卸し(退職者・異動者の権限見直し)をルーチンに組み込み、継続的に内部統制と生産性の両立を図ります。
6. 失敗しないための比較観点とチェックリスト
勤怠管理システムの設定代行を選ぶ際は、機能の網羅性だけでなく、将来の制度変更や事業拡大に耐えうる拡張性、法改正への追従力、内部統制やセキュリティ水準、運用を支えるサポート体制、そして総コストの透明性までを多面的に確認することが重要です。以下の観点とチェックリストを用いて、要件の抜け漏れや想定外コストの発生を防ぎましょう。
6.1 システム対応範囲と将来の拡張性
現行の就業規則・勤務形態に適合することは前提として、拠点追加・雇用区分の増加・制度改定にも柔軟に対応できるかを評価します。多様な勤務形態(シフト、フレックス、裁量労働制、変形労働時間制、テレワーク)や、複数拠点・グループ会社・兼務者への対応、マルチデバイスの打刻手段(ICカード、指静脈・顔認証、生体+スマホアプリ、Web)を視野に入れます。
| 観点 | 確認ポイント | 望ましい状態 | 典型的な落とし穴 |
|---|---|---|---|
| 勤務形態の網羅性 | 固定時間制、シフト制、フレックス(コア有/無)、変形(1か月/1年)、裁量・みなし労働の扱い | 制度ごとに別ルールを持て、従業員単位で柔軟に割当・変更できる | 制度追加時にアドオン必須で、設定代行のたびに高額費用が発生 |
| 就業規則の反映難易度 | 丸め、休憩自動付与、遅早退控除、振替・代休、残業自動計算の粒度 | GUIベースで設定し、テスト環境でシナリオ検証できる | CSVや式のカスタムが必須で、属人スキルに依存 |
| 多拠点・グループ対応 | 拠点別カレンダー、祝日・ローカルルール、マルチカンパニー | 共通マスタ+拠点上書きの二階建て管理が可能 | 拠点追加時に設定の二重管理が発生し、運用負荷が増大 |
| 外部連携 | 給与・人事マスタとの双方向連携、API、Webhook、SSO | 標準コネクタ+API公開で将来の更改に追従可能 | CSV前提で手作業が残り、締め処理が遅延 |
| 打刻・申請チャネル | IC/生体/アプリ/Web/PCログ/ビーコン・ジオフェンス対応 | 不正防止(位置情報、カメラ、端末制限)を選択可能 | 在宅・出張・直行直帰で乖離が生じ、監査指摘に発展 |
- 将来3年の組織計画(拠点・人員・雇用形態の変化)を前提に、制度追加時の設定方針と費用見込みを見積段階で合意
- 本番前に「正規・パート・管理監督者・裁量」の代表者でモンテカルロ的テストデータを流し、差異と根本原因を記録
- API仕様のバージョン管理方針、互換性維持期間、サンドボックス有無を確認
6.2 法改正対応 36協定と労働時間管理
働き方改革関連の要件(時間外労働の上限規制、年5日の年休取得義務、労働時間の客観的把握など)に確実に対応できるパラメータ設計と運用ルールが不可欠です。36協定の上限は、原則「月45時間・年360時間」、特別条項締結時でも「年720時間、複数月平均80時間以内(休日労働含む)、単月100時間未満(休日労働含む)、月45時間超は年6か月以内」です(根拠:e-Gov法令検索(労働基準法)、厚生労働省「36協定」)。
| 観点 | 確認ポイント | 望ましい状態 | 典型的な落とし穴 |
|---|---|---|---|
| 上限規制アラート | 月次・年次、複数月平均、単月閾値、休日労働合算の自動判定 | ダッシュボードとメール/チャット通知で多段アラート | 月次締め時にしか気づけず是正できない |
| 36協定区分 | 一般条項/特別条項の社員区分、適用期間、限度時間の反映 | 対象者の異動・昇格時に自動で区分切替 | 人事異動後に旧区分のまま運用され違反リスク |
| 労働時間の客観的把握 | 打刻漏れ検知、PCログ/アプリ稼働ログ連携、乖離アラート | 乖離発生時に上長へ自動催促と経路証跡 | 自己申告のみで監査証跡が不足 |
| 休憩・深夜・休日判定 | 自動休憩付与、22時〜5時の深夜、法定休日と所定休日の区別 | 制度変更時もテーブル変更のみで追従 | 手当定義が固定で給与側に補正負荷が転嫁 |
| 年休取得義務 | 10日以上付与者の年5日取得状況、時季指定・計画付与 | 未取得者の自動抽出と部門別進捗レポート | 付与・消化ロジックが複雑で二重管理 |
- 36協定の各上限値に対応する閾値・アラートの設計書(誰に・いつ・どのチャネルで通知するか)を成果物として必ず受領
- 変形労働時間制・フレックスの清算期間に合わせた「法定外の自動計算根拠」をテストケースで確認
- 休日労働の取り扱い(振替・代休)と割増率の判定順序を、給与側の計算式と突合
6.3 内部統制 セキュリティ監査 ISMS
権限管理・認証方式・監査証跡・データ保全は、上場企業やグループ経営における内部統制の要です。ISMS(ISO/IEC 27001)やプライバシーマークの取得状況はベンダー選定の重要指標となります(参考:JIPDEC ISMS)。
| 観点 | 確認ポイント | 望ましい状態 | 典型的な落とし穴 |
|---|---|---|---|
| 認証・認可 | SSO(SAML/OIDC)、多要素認証、IP制限、端末制限 | IdP連携でプロビジョニング、グループロールで権限一元管理 | 個別アカウント管理で退職・異動時に権限残存 |
| 権限分掌 | 申請者・承認者・人事・給与・監査の職務分離 | ロール単位で機能/データ/部門範囲を細分化 | 管理者が自分の勤怠も編集可能で牽制機能が働かない |
| 監査ログ | 誰が・何を・いつ・どこから行ったかの不変ログ、改ざん防止 | API/CSVでエクスポート、7年以上など社内規程に沿う保管 | UI表示のみで一括取得不可、保管期間が短い |
| データ保全 | 暗号化(保存/転送)、バックアップ、RPO/RTO、国内リージョン | 災害対策(DR)と障害時の復旧手順がSLAに明記 | ベンダー依存で復旧時間が不明瞭 |
| コンプライアンス | ISMS/プライバシーマーク、脆弱性診断、第三者監査報告 | 最新レポートの提示と是正管理が運用プロセス化 | 過年度の証跡のみで最新性が担保されない |
- 「権限マトリクス」「承認経路」「監査ログ出力サンプル」を見積・契約前レビューで確認
- 監査対応(J-SOX、内部監査)で必要な証跡一覧を作成し、標準機能で取得できるか評価
- SSO停止時のフェイルセーフ(代替ログイン手段と権限の最小化)を手順化
6.4 サポート体制とSLA 受付時間
導入後の制度改定・人事異動・拠点追加は日常的に発生します。サポート窓口の品質、応答SLA、障害コミュニケーション、運用の継続的改善を担うカスタマーサクセスの有無を重視します。
| 観点 | 確認ポイント | 望ましい状態 | 典型的な落とし穴 |
|---|---|---|---|
| 受付チャネル | 電話/メール/チャット、専用ポータル、担当者アサイン | 重大度に応じた直通ラインと受付時間の明確化 | 繁忙期(締め日)に応答が遅延し復旧が翌月へ |
| SLA定義 | 初動時間、暫定対応、恒久対策、優先度の基準 | 重大度マトリクスと報告頻度が契約書に明記 | 「ベストエフォート」で事実上の無保証 |
| 変更管理 | 制度改定時の影響分析、ステージング検証、リリース窓口 | 定期レビュー会と変更カレンダー運用 | 本番直修で思わぬ副作用が発生 |
| 教育・ナレッジ | 管理者研修、動画・マニュアル、FAQ、リリースノート | 人事・情シスの自走を支える運用手引きが提供 | 導入担当者の異動でノウハウが散逸 |
| 可用性 | 月間稼働率、メンテナンス告知、障害レポート公開 | SLAの実績開示とクレジット(返金)ポリシー | 深夜メンテがシフト勤務の打刻に影響 |
- 締め日前後の優先サポート(延長受付・即応ライン)の提供可否を契約条項に明記
- 重大障害時のエスカレーション経路(一次〜経営層)と報告SLA、暫定運用(手当計算)を合意
- 四半期ごとの運用レビューでKPI(問い合わせ件数、一次解決率、変更リードタイム)を共有
6.5 見積もり内訳と隠れコストの洗い出し
初期費用・月額費用だけでは全体像を捉え切れません。設定代行では、制度の複雑性やデータ移行の難度、オンサイト対応、連携開発、監査対応など、多数のオプション費用が発生し得ます。契約期間・最低利用人数・解約条件を含めたTCO(総保有コスト)で比較します。
| コスト項目 | 発生タイミング | 代表的な算定方法 | 見落としリスク |
|---|---|---|---|
| 要件定義・設計 | 初期 | 工数見積(時間×単価)/パッケージ一式 | ヒアリング回数超過・制度変更で追加費用 |
| データ移行 | 初期 | 従業員数・CSV整形難度・クレンジング有無 | 過去実績インポートや履歴在籍の移行抜け |
| 打刻機器 | 初期/随時 | 端末台数×単価+設置・配線・設定 | 在庫・保守費、交換サイクル、ICカード発行費 |
| オンサイト・出張 | 初期/障害時 | 日当+交通費実費+入館手続き工数 | セキュリティ講習・書類発行の追加費 |
| 外部連携 | 初期/運用 | 標準コネクタ利用料/API開発工数/Webhook | APIコール課金、仕様変更対応の都度費用 |
| 監査・ログ保管 | 運用 | 保存年数延長オプション/ストレージ超過 | J-SOX・内部監査の証跡出力代行費 |
| サポート | 運用 | 標準/プレミアムプラン、SLA別月額 | 締め日延長や優先対応が別料金 |
| 制度改定対応 | 運用 | 年次改定一式/スポット設定代行 | 法改正・賃金制度改定のパラメータ再設計 |
| 解約・更改 | 契約更改時 | 最低利用期間、違約金、データエクスポート | 退避データの形式・費用・作業期間の不足 |
- 見積書に「作業範囲(スコープ)」「前提条件」「成果物」「変更管理ルール」を明文化し、範囲外費用の算定式を合意
- 人員増・拠点増・申請増に伴う従量課金(ユーザー数、ストレージ、APIコール、SMS認証)をTCOに織り込み
- 解約時のデータ返還(形式、費用、期間)とデータ消去証明の取得方法を確認
上記観点を網羅したチェックリストと、テストシナリオ(代表的な勤務形態・例外ケース・月跨ぎ・法定休日・深夜・年休付与/消化)を導入前に準備し、設定代行の受入基準として明確化することで、導入後の手戻りや監査指摘、予算超過のリスクを最小化できます。
7. よくある質問 FAQ
7.1 既存システムからのデータ移行は可能か
多くの勤怠管理システムでは、従業員マスタや勤怠実績のCSVインポート/エクスポート機能が標準提供されており、設定代行ではデータ項目のマッピング設計とクレンジングを行うことで移行が可能です。 一方で、締め日・丸め単位・遅早退判定・法定休日などの「計算ロジック」はシステムごとに差異があるため、そのまま数値だけを移し替えると整合性が崩れる場合があります。設定代行では、旧システムの就業ルールを正確に読み取り、新システムのパラメータに落とし込む工程を重視します。
移行の対象は、従業員マスタ(氏名・雇用区分・所属・雇用形態・契約時間など)、勤怠実績(打刻・休暇・残業・深夜)、各種付与・残数(年次有給休暇、代休、特別休暇)、シフトパターン、ワークフロー履歴などが中心です。監査対応の観点から、監査ログや承認履歴はできる限り原形を保って保存・エクスポートし、証跡性を確保します。
| 移行対象 | 代表的なフォーマット | 必要な前処理 | 典型的なリスク/対策 |
|---|---|---|---|
| 従業員マスタ | CSV(文字コードUTF-8/Shift_JIS)、固定長 | 所属コードの正規化、雇用区分の統一、退職者フラグ整理 | コード重複/桁溢れ→コード体系表の定義、桁数検証スクリプト実行 |
| 勤怠実績(打刻・日次) | CSV、API(一部製品) | 丸め単位の差異調整、深夜区分のズレ補正、欠勤・遅早退の判定再計算 | ロジック不一致→新旧で日次比較テスト、差分許容範囲の合意 |
| 休暇付与・残数 | CSV | 基準日・付与ルールの明確化、端数処理の統一 | 残数乖離→基準日時点のスナップショット移行、導入月の手動補正手順化 |
| シフト・勤務パターン | CSV、テンプレート入力 | パターン名/所定時間の正規化、夜勤跨ぎの扱い統一 | パターン崩れ→命名規則の策定、テスト用週次シフトで検証 |
| ワークフロー履歴 | CSV、PDFエクスポート | 承認者・承認日時の整合確認 | 証跡欠落→PDFアーカイブ+新環境での参照方法周知 |
スムーズな移行には、リハーサル移行(ドライラン)→並行稼働→本番切替の三段階を推奨します。並行稼働期間においては、新旧システムの「残業時間」「休暇残数」「遅早退回数」などの主要KPIで差分を日次・週次で突合し、許容範囲と是正方法を合意します。最終的な移行可否は、選定システムの最新仕様と現行データの品質に左右されるため、PoC(概念実証)を前提に判断するのが安全です。
7.2 就業規則が未整備でも設定できるか
就業規則が未整備でも設定代行は可能ですが、勤怠ロジックの根拠が曖昧だと運用トラブルの原因になるため、少なくとも所定労働時間・休憩・休日・時間外・深夜・休暇付与・遅刻早退の取り扱いなど、勤怠に直結する条項だけでも先に確定することを強く推奨します。 設定代行では、現状運用(暗黙ルール)をヒアリングし、ドキュメント化したうえでパラメータに反映します。
なお、一般に「常時10人以上の労働者を使用する事業場」は就業規則の作成・届出が義務付けられています(労働基準法)。最新の制度・手続きは公的情報をご確認ください(例:厚生労働省)。時間外・休日労働の上限管理(いわゆる36協定)や年次有給休暇の取得管理など、法令遵守が必要な項目は、設定段階でパラメータと申請フローに落とし込み、監査ログで追跡できる状態にします。
実務上は、短期で整備できる「暫定ルール(運用基準書)」を策定し、並行して就業規則の改訂・届出を進めるのが現実的です。設定代行チームと社会保険労務士が連携することで、運用開始時の不整合(例:付与基準日や端数処理の齟齬、シフト跨ぎの扱い)を抑制できます。
7.3 打刻機器の流用や追加購入の判断基準
既存のICカードリーダーや生体認証端末、据置型タイムレコーダーは流用できる場合がありますが、「接続方式」「対応プロトコル」「新システムの対応デバイス一覧」および「クラウド接続要件」を満たすことが前提です。 ドライバ提供状況、SDKの有無、ローカルPC常駐アプリの必要性、オフライン時の打刻保全と再送ロジック、時刻同期(NTP)なども確認します。
| 機器種別 | 主な接続方式 | 流用の可否判断ポイント | 代替案/追加購入の目安 |
|---|---|---|---|
| ICカードリーダー(FeliCa/MIFARE等) | USB、Bluetooth、内蔵NFC | 対応規格(FeliCa/NFC Type A/B)、対応OSとドライバ、ブラウザ連携可否 | クラウド対応の専用リーダーへ更新、モバイル打刻+位置情報で代替 |
| 生体認証(指紋・指静脈・顔) | LAN(PoE含む)、Wi‑Fi、USB | 新システムのサポート機種、テンプレート(生体データ)の再登録要否 | クラウド連携モデルの導入、顔認証カメラ一体型端末に刷新 |
| 据置型タイムレコーダー | LAN、専用回線 | データ送信プロトコル、バッチ/リアルタイム送信、時刻同期方法 | API/Webhook対応のクラウドレコーダーへ置換 |
| スマートフォン打刻 | セルラー、Wi‑Fi | ジオフェンス/IPアドレス制限、端末認証(MDM) | 拠点ごとにビーコン設置、端末固定化で不正打刻抑止 |
セキュリティ要件(入館管理・IP制限・監査ログ)を満たすかも重要です。特に、社外やテレワークでの打刻を許容する場合は、不正打刻対策(位置情報、写真付き打刻、申請ワークフロー)と個人情報の取り扱いをセットで設計します。最終判断は、対象ベンダーの最新「対応デバイス一覧」と現物検証(PoC)で確認してください。
7.4 導入補助金やIT導入補助金の対象か
勤怠管理システムの導入・設定代行は、要件を満たす場合に「IT導入補助金」の対象になり得ますが、採択には「IT導入支援事業者の登録」と「補助対象ITツールとしての事前登録」が必要です。 対象経費の範囲、補助率、スケジュールは年度ごとに変更されるため、必ず公式情報で最新要件を確認してください(IT導入補助金 公式サイト)。
| 項目 | 補助対象になり得る例 | よくある除外例 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| ソフトウェア利用料 | クラウド勤怠のサブスクリプション(対象ツールに登録済) | 対象外ツール、登録外プラン | 対象期間・プランの指定に従うこと |
| 導入設定・データ移行 | 設定代行、マスタ設計、CSV移行、操作研修 | 単なる人件費振替、保守のみ契約 | 「役務」の計上要件・見積内訳の明確化 |
| ハードウェア | 対象ツールと一体で必要な専用打刻端末 | 汎用PCや既存機の置換のみ | ハードの可否は年度要件とツール登録内容に依存 |
| セキュリティ・連携 | IP制限・シングルサインオン等(ツールに含まれる場合) | 既存認証基盤の更新費用 | 範囲外の周辺投資は別枠検討 |
申請には、事業計画の作成、gBizIDアカウントの用意、取引先(IT導入支援事業者)との共同申請準備が必要です。公募スケジュールに余裕を持って、要件確認→見積・内訳整理→申請書作成→採択→契約・導入→実績報告という流れを逆算し、締切直前の駆け込みを避けましょう。 自社の課題(労働時間の見える化、残業抑制、年休取得管理、内部統制)とKPIを明確化しておくと、申請書の整合性が高まります。
8. まとめ
勤怠管理システムの設定代行は、短期間での立ち上げ、法令対応の抜け漏れ防止、内部統制の強化を同時に実現する有効な手段です。就業規則の複雑化や、給与・人事との連携、ワークフローや監査要件まで含む全体最適を自社のみで完結するのは負荷が高く、専門家の知見を活用することで初期設計の品質と移行の安全性が高まります。結論として、導入スピードと運用品質の両立には、設定代行の併用が投資対効果に優れます。
対応範囲は、初期設定と就業規則の反映、マスタ設計とCSV等によるデータ移行、ICカードや生体認証を含む打刻機器設定、シフト・休暇・ワークフロー、弥生給与・給与奉行・マネーフォワードクラウド給与・freee人事労務などとの連携、権限・IP制限・監査ログまでが標準的です。全社運用の実態と内部統制を両立させた要件定義とパラメータ設計が成功の鍵です。
費用は、スポットの設定代行、導入支援パッケージ、出張・オンサイトの追加、運用保守・月額サポートの組み合わせで構成され、拠点数・連携数・移行データ量・研修内容で変動します。結論として、見積内訳(作業範囲・成果物・回数・移行データ件数)を明文化し、検証環境やテスト支援の有無まで確認することで、隠れコストを抑制できます。
ベンダー選定では、ジョブカン勤怠管理、KING OF TIME、マネーフォワードクラウド勤怠、freee勤怠管理Plus、奉行Edge 勤怠管理クラウド、タッチオンタイム等の機能・実績に加え、NOCアウトソーシングやパーソルプロセスアンドテクノロジーの導入支援力も比較対象になります。APIやSlack・Microsoft Teams連携、既存の会計・給与との適合、業界別ノウハウを自社要件に照らして評価するのが結論です。
提供形態は、東京・大阪・名古屋発の対面に加え全国オンライン対応が一般的です。オンライン完結では、就業規則・現行フロー・マスタデータ・テストケースの事前準備が効率化に直結します。オンサイトは入館手続き、セキュリティルール、撮影やログ持ち出し可否を事前に擦り合わせることが重要です。
導入は、キックオフ・要件定義から、パラメータ設計と検証、データ移行と並行稼働、本番移行、管理者研修・マニュアル整備、初月のチューニングまでの一連で進めます。結論として、並行稼働の期間を確保し、例外処理の洗い出しと運用ルールの明文化を行うほど移行リスクは低減します。
比較の要点は、将来拡張性、法改正・36協定対応、ISMS等の内部統制、サポート体制とSLA、障害時のエスカレーションです。FAQの結論として、データ移行は多くのシステムでCSV等により対応可能で、現行データの棚卸と整合性確認が前提です。就業規則が未整備でも骨子策定で進められますが最終確定は必須、打刻機器は互換性と保守性で判断、IT導入補助金は公募要領と登録ITツール・支援事業者の要件確認が必要です。最短で失敗しないために、3社以上から提案を取り、要件・スケジュール・成果物・費用の4点で比較検証することを推奨します。
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